おむすびが、どうしておいしいのだか、知っていますか。
あれはね、人間の指で握りしめて作るからですよ。
太宰治『斜陽』
他の生き物には絶対に無くて、人間にだけあるもの。それはね、ひめごと、というものよ。
太宰治『斜陽』
人間は、こぶしを固く握りながら笑えるものでは無いのである。
太宰治『人間失格』
女には、二十九までは乙女おとめの匂においが残っている。
しかし、三十の女のからだには、もう、どこにも、乙女の匂いが無い。
太宰治『斜陽』 #人間
女は、自分の運命を決するのに、微笑一つでたくさんなのだ。おそろしい。不思議なくらいだ。気をつけよう。
太宰治『女生徒』
人間は、いや、男は、(おれはすぐれている)(おれにはいいところがあるんだ)などと思わずに、生きて行く事が出来ぬものか。
太宰治『斜陽』
女は魔物だなんてよく言うが、或(ある)いは女は意識せずに一時、人間性を失い、魔性のものになってしまっている事があるのかも知れない。(冒頭改変)
太宰治『パンドラの匣』
飲酒の作法は、むずかしい。泥酔(でいすい)して、へどを吐くは禁物。すべての人に侮あなどられる。
大声でわめいて誰かれの差別なく喧嘩(けんか)口論を吹っ掛けるのも、人に敬遠されるばかりで、何一ついい事が無い。
太宰治『新ハムレット』
不良でない人間があるだろうか。
太宰治『斜陽』
「自分の生きている事が、人に迷惑をかける。 僕は余計者だ。」という意識ほどつらい思いは世の中に無い。
太宰治『パンドラの匣』